将棋という文化が長く続き、将棋のプロ棋士が収益を得られているのは、将棋が高い格式を持っているからです。
将棋のタイトル戦が有名なホテルや旅館で行われることは、将棋に詳しくない人でも将棋や将棋棋士に対して尊敬の念をもっているからに他なリません。
将棋の対局内容を理解していなくとも、多くの日本人が将棋あるいは将棋棋士という存在に対し無意識的な尊敬の念を感じているのです。
このことをもっともわかりやすい言葉で示すと『格式』ということになります。
有名な神社や茶道の家元、伝統芸能(能や浄瑠璃など)などにも多くの日本人が尊敬の念を抱いていると思いますが、それは格式があり、またはその格式を守っている存在だからです。
現在、将棋界が長年守ってきた格式を壊そうとしている存在があります。
それは『AbemaTV』です。
以前にも将棋界の格式が崩壊していく懸念についての記事を書いていますが、AbemaTVの将棋との関わり方が感化できないレベルに達しているので注意喚起のため記事にしたいと思います。

AbemaTVの将棋チャンネルでは、非公式戦のAbemaトーナメントという棋戦が行われています。
Abemaトーナメントはチーム戦で行う棋戦で、持ち時間5分で1手指すごとに5秒が加算というチェスによく採用されているフィッシャールールで行う超早指しの棋戦です。
こういったチーム戦や超早指しの棋戦という部分にも疑問は残るのですが、その点は大きな問題ではありません。
問題はAbemaTVの将棋棋士への対応があまりにも酷いことで、例えば将棋棋士にバンジージャンプをさせたり滝行させたりと、まるで将棋棋士をバラエティタレントみたいな感覚で扱っているのです。
こういったことは、将棋の格式を壊すことに繋がるのではないでしょうか?
将棋棋士がたまにバラエティ番組に出演することはいいですし、かつて叡王戦を主催していたニコニコ生放送でも、詰将棋カラオケなどの将棋棋士が出演するバラエティ的な企画がありました。
しかし、AbemaTVの場合はバラエティ的な扱いと将棋の棋戦が一体化してしまっていて、問題がより大きいように感じます。
楽しければいいという発想で将棋棋士が活動をすれば、一時的には盛り上がるかもしれませんが将棋の格式は確実に下ります。
そして将棋の格式が下がれば、新聞社が高いお金を払って棋戦を主催する意味を失うのです。
AbemaTVが将棋に対して行っていることは、伊勢神宮にジェットコースターを作るようなもので、話題になっても神社としての格式は下がり長期的には参拝客が減ると考えられるのです。
現在の将棋界は、藤井聡太という歴代級の棋士が現れたため十年以上は安泰でしょう。
しかし、油断すると一気に崩壊する可能性だってあります。
最近は和服を着ないタイトル保持者や挑戦者もいるそうですが、将棋の棋戦が対局内容という競技の部分よりも、文化的な側面が支持されて行われていることを忘れてはなりません。
もし将棋が競技の部分だけで支持されているというのなら、チェスやオセロなどの頭脳系競技と大差がなくなってしまいます。
日本将棋連盟が日本のチェスやオセロの統括団体と同じようになりたいのであれば、格式を捨ててスポンサーの言いなりになっておちゃらけていればいいですが、そんなことを考える人はいないでしょう。
以上、日本将棋連盟、将棋棋士、AbemaTVには苦言を呈したいと思います。


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