政府・与党が日本の防衛費を増額する作業を本格化するとのニュースが広がり、様々な議論を呼んでいます。
政府は、今までGDP比でおおよそ1%だった防衛費を、5年後に2%まで引き上げたい考えだそうです。
GDP比で1%から2%になるということは、普通に考えて防衛費が倍になるということなのですが、このことにはいろいろな問題があります。
場合によっては国防上マイナスになる可能性すらあるかもしれません。
まず、上げ方が極端であるという問題に目が行きます。
1%から1.2%とか1.3%ならまだしも、いきなり倍の2%に引き上げることは様々の問題を生じさせる可能性があるのです。
現在の日本の防衛費はGDP比ではG7で最下位の7位ですが、2%になるとドイツ、フランス、イタリア、カナダを抜き、一気にアメリカ、イギリスに次ぐ3位まで上昇します。
このような防衛費の極端な上げ方は周辺国(主に中国)を刺激し、周辺国の軍事費を急増させるかもしれません。
それに対応するために、日本も更なる防衛費の増額という悪循環が起こってしまう可能性があります。
30年前や20年前なら、中国との軍事費上昇合戦を行っても先に潰れるのは中国側だったでしょうが、今なら確実に日本のほうが先に経済的な問題が生じてしまうことでしょう。
そもそも日本の防衛費がGDP比の1%で済まなくなった大きな要因は、日本の経済が30年近くも低迷していることにあります。
昔はGDP比1%の防衛費でも十分周辺国の驚異に対応できましたが、今の日本のGDPでは1%では物足りなくなっているわけです。
しかし、ただでさえここ30年間で消費税などの増税を繰り返してきたのに、それに加え防衛費を捻出するため更なる増税を行えば、景気がより一層悪くなる可能性が高まります。
そうなれば、GDP当たりの防衛費を上げても実質的な防衛費が上がる効果は薄まりますし、経済的な国防という概念でもマイナスとなります。
アメリカは1990年と比べGDPがおよそ4倍(400%)程度まで上がっていますが、日本は同じ期間で20%しか上がっていません。
もし日本のGDPがアメリカ並みに30年で4倍に上昇していたら、防衛費はGDP比で2%どころか0.5%でも十分だった可能性があるわけです。
当然、経済的な防衛力に関しても、GDPが上昇しているほうが有利となります。
以上のように、経済の低迷を招くような防衛費の増額は国防上マイナスになりかねないわけです。
実際に防衛費の増額により景気の悪化が起きれば、防衛費はGDP比2%でも足りない状況が起こるかもしれません。
GDP比で決める以上、経済状態が悪化すれば防衛費も下がるわけで、GDPが上がっている国との防衛費にどんどん差が出てきてしまうのです。
また外国から購入する兵器も、他国との経済格差が広がればその分だけ割高になります。
そうなれば、防衛費をGDP比で3%、4%と上げていかなければ軍事力の維持はできなくなります。
それは防衛費捻出のために税金を更に上げるという意味であり、景気がより悪化するという負のスパイラルに陥るわけです。
そんなことになれば、日本はあっという間に北朝鮮レベルの国家に成り下がってしまうことだって考えられます。
防衛費を上げることは国防上有益と考えがちですが、経済の悪化(GDPの低下)を招けば
・純粋に景気が悪くなる
・経済的な防衛力が弱くなる
・軍事力を維持するために防衛費のGDP比を増やさなければならない
という3つの問題が起こるため、ひょっとしたら防衛費をGDP比で2%にするよりも0.5%にしたほうが防衛上プラスになる可能性だって考えられるのです。
当たり前のことですが、防衛費は安く抑えられたほうがいいに決まっています。
しかし、どういうわけか日本の防衛費は増額することが正義みたいな論調で意見を言う人もおり、日本の将来を憂うばかりです。


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